おかしなあなた
一瞬見た風見の真面目な顔。
心の中でなぜかあなたと重ね合わせる。

「え…」

「だから断ったんだけどーキスしてって言われたから、したー」
といつもの調子に戻る。


おい、それはただのタラシ。

と先程の気の迷いをすっかり吹き飛ばして、不快感をあらわにしてると

「さ、そろそろ戻ろー。あいちゃんは?」

「わたしもうちょっとここにいる」
もう一本吸うか…と思っていると

「じゃあこれ没収ー」
とタバコとライターを取られた。こいつ意外とするどい。

「その代わり…」
風見がポケットをごそごそして
「はい」
とシガーチョコをくれた。
「代わり、ね」
とこくっと首を傾けながらいった。
それが少しかわいくて、タバコを没収された怒りも忘れ、わたしは素直に
「ありがとう…」
と受けとった。

少しの間手の中のそれを見つめていると
「あいちゃん」
とまた声をかけられて、顔をあげると
目の前に風見の顔があった。

そして―…
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