おかしなあなた
「わたしが浮気相手だったんだよね。てゆーかそれ以下だったのかも」
ポツリとこぼれる。一緒に涙もこぼれてきた。


「最近会えなくて、昨日久々に家にいったの―…」
それはわたしの意地だった。会いに行かなくても、向こうから会いにきてくれるんじゃないかって。

「そしたら中から女の人が出てきたの」

一瞬わけがわからなかった。お姉さんか妹さんかなっていいように考えてた。
「碧くんはまだお仕事ですか?」とわたしは努めて明るく聞くとその女性は…
「碧はまだ仕事だけど…あなたどちらさま?」
冷たい視線が刺さる。お姉さんや妹さんにはわたしのこと話してないのかな…
「えと、わたし渡辺愛って言います。」
「あ―あいちゃん」
とその女の人は納得したようなそぶりを見せる。あ、顔を知らなかっただけかと思った瞬間
左頬に痛みが走った。
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