おかしなあなた
ミントガム
そういや昨日会う前に買ったんだった。
女性としてのエチケット。あなたの前では良識ある女性でいたかった、女の子じゃなくて。
ま、意味なかったか。


クチャクチャとわざと音をたてて噛んでみる
音をたててガムを噛むのは下品だから普段なら絶対しないけど。所詮わたしはそんな女の子なのよ、だからなのよってわざと自分を悪者にする。悲劇のヒロインは荷が重い。
最初は甘ったるくもあるミントガム。
ミントの香りが口内に広がり、息を吸うと胸いっぱいに爽やかな空気が広がる。
そして段々味気がなくなり、最後はゴムを噛んでるみたいな不快感に襲われる。

あぁチューイングガムって恋愛に似てる、なんてセンチメンタルに浸りながら
味がなくなったガムを吐き出して、紙でまるめる。それをポケットに入れると
わたしは学校に向かってらしくもなく駆け出した

口の中がさっきまで噛んでたガムのせいでザラザラする
わたしの心も。
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