カベの向こうの女の子
好きな人
わからない
着込んでいるのに、夕方の外はやっぱり寒い
昼は快晴で日の当たるところはまだ暖かったが、もう日は落ちていつのまにか薄暗く風が冷たい
今日は木曜日だった
ファミレスに入ると、暖房の暖かさが身にじんわり染みてくる
こうして一緒に夕飯を食べることは、珍しくなくなっていた
ちょうど店は混みはじめてきたところみたいだ
席はそれなりに埋まっていて、客が次から次へと店に入ってくる
俺達は壁際の席にいた
俺はハンバーグを食べながらふいに思い出した
目の前でハヤシライスをスプーンですくう春菜に言ってみた
「春菜って、顧問好き?」
春菜はいきなりの質問にきょとんとした顔をする
「部活の?なんで?」
「なんとなく…」
「知ってるの?神八(カミヤ)先生のこと?」
「いや、あんま知らないけど…。前、春菜の友達に絡まれた時、いたからさ」
「あ、ああ〜。あの時ね」
春菜は大袈裟に首を縦にふった
この前、その神八と話したことは、あえて言わないことにしていた
言ってみたところで、何がどうなるわけでも、俺に良いことがあるわけでもなさそうだからだ