カベの向こうの女の子
あり得ない…、それを聞いて安心が深まった
噂なんて、どこにでも溢れてるし
当事者にとったら不本意なものもいっぱいある
春菜もそれになっただけだ
「俺、あの子の噂かと思ってたから、ビックリ…」
「そういえば、あたしが副部長のこと言ってなかったもんね。でも愛ちゃんは、ないない!先生みたいのタイプじゃないもん」
「じゃあ、どんなのが良いの?」
「どっちかって言うと…。そうだな…、ワイルドなかんじ?男らしくて無愛想なほうが良いみたい」
「ふーん、確かにそのほうが似合うかもな」
神八にはワイルドとか無愛想なんて言葉、確かに当てはまらない
ロングヘアーはああいう爽やか系より、クールなタイプといるほうがしっくりくるな
なんたってロングヘアーがクールだから、お互いそのほうが波長があう気がする
俺は一人納得していた
「じゃあ、波くんはどんな人がいい?」
俺は不意をつかれたせいで、ドキリとした
また春菜の顔が直視できない
目が泳ぐ
「あ、俺は…、明るくてよく笑う人…かな」
考える間もなかった
春菜を表したつもりの2つのキーワードは、好みの異性のタイプとしてはあまりにもありきたりだった