カベの向こうの女の子
2度目の誘拐
一世代前の不良漫画みたいな…
主人公の彼女(または好きな女の子)が、ライバル的なやばい奴に拐われるあのベタな展開が
まさか現実に起こりうるとは…
俺は予想だにしていなかった
午後8時
仕事も終わり飯も食い終わって、多分一番気を抜いてるときだ
俺は風呂に入っていた
湯船でぼーっとただどこを見るでもなく、何を考えるでもない
夏はシャワーですましてしまうことがほとんどだけど、冬場は湯船に浸かりたくなる
凍えた体を湯船に預ける時の、あの下から這い上がるような温かさが気持ちいい
すると、風呂の外から携帯の着信が鳴っているのが聞こえた
水滴の音くらいしかしなかった風呂場には少々うるさい
頭も体も洗って風呂でやることはだいたい済んでいた
それからけっこうな間湯船の中にいたから、携帯の着信をきっかけに出ようと決心した
そうしてる間に着信音がぷつりと切れてしまった
俺は洗面台に置いてあった携帯を手にはとらずに、バスタオルで体を拭く
それから部屋着に着替え終わったところで、もう一回着信音が響いた