カベの向こうの女の子

それはそれで仕方ない



でも、やっちまったもんはしょうがないわけよ




彼女は誘拐されたとかそんな事実もみ消すように、あまりに穏やかに眠っている


一定のリズムの寝息だけが、俺の部屋に響く




さっきからなかなか起きないんだ




俺は彼女の愛らしい寝顔に目が離せなくなってた



絶妙な輪郭の曲線と白い肌に桃色の唇




さっきからずっと見続けてる



俺はドキドキして仕方なかった



彼女がそばにいることも原因だけど、起きたらどう対処するとか全然答えがでなかったから




まったくこの子と会ったことで、初めて頭をこれほど使うとは




そんな事色々考えていたら、いきなり携帯のバイブレータが鳴った



静まりかえっていた俺の部屋にはよく響いたから



俺は鳴った瞬間、びっくりして大袈裟に体を揺らしてしまった




どうやら彼女の携帯らしい


彼女の皮のスクールバックから聞こえた




少しの間、息を凝らしていると携帯がなりやんだ




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