カベの向こうの女の子
俺はほっとしたが
それもつかの間、また携帯が鳴り出した
今度は少し待っても鳴り止まなかった
俺は彼女とカバンを交互に見てから、カバンに手を触れた
カバンにはくまのキーホルダーが1つだけついている
俺はカバンを開けて、中の携帯を手で探り当てた
携帯の表示画面をみると"家"という文字
どうやら自宅からの電話みたいだ
俺はなんだか冷や汗が出た
「んん…」
携帯を見つめていると背を向けていた彼女から声が聞こえた
俺は心臓が飛び出るかと思うほどびっくりして、思わず携帯をカバンの中に突っ込んだ
そして彼女のほうへ振り返った
彼女はうっすら目をあけてぼーっとしているみたいだった
しかしどこを見ているのか、俺の存在には気がついていない
そしてなんと、また布団を深くかぶって寝てしまった
俺は思わず布団ごしに彼女を揺さぶった
「ちょ…、起きろよ!」