カベの向こうの女の子

もうあの2人の顔が、ぼんやりとしか思い出せない


「なんでわかったの?」



「んー、なんとなく…。あいつ、そういう噂で有名だったし…」



俺は鼻をすすりながら言った



「なんとなく…って」



「付き合ってたなら、わかるだろ?あいつ馬鹿みたいに金持ちじゃん」




「うん、金持ちだった。でも、付き合ったうちに入らないよ」



「期間、短かった?」



「それもある。あとは、あんまり会わなかったし…」


「ふーん」



須釜とロングヘアー…、確かにあんまり似合わない



ロングヘアーはただ冷めてるし、須釜も金持ちってだけで中身は空っぽだからな


何を話して何をしていたんだろ



きっと須釜は、ロングヘアーのご機嫌とりに必死だったろうな



「そういえば、この前言ってた春菜のこと、教師とのこと?」



俺は思い出して、言った


ロングヘアーは俺を見て、目を大きくした



「春菜から聞いたの?」



「ああ、噂があるってことだけ」



「そうなんだ。どう思ってる?」



< 146 / 219 >

この作品をシェア

pagetop