カベの向こうの女の子
もうあの2人の顔が、ぼんやりとしか思い出せない
「なんでわかったの?」
「んー、なんとなく…。あいつ、そういう噂で有名だったし…」
俺は鼻をすすりながら言った
「なんとなく…って」
「付き合ってたなら、わかるだろ?あいつ馬鹿みたいに金持ちじゃん」
「うん、金持ちだった。でも、付き合ったうちに入らないよ」
「期間、短かった?」
「それもある。あとは、あんまり会わなかったし…」
「ふーん」
須釜とロングヘアー…、確かにあんまり似合わない
ロングヘアーはただ冷めてるし、須釜も金持ちってだけで中身は空っぽだからな
何を話して何をしていたんだろ
きっと須釜は、ロングヘアーのご機嫌とりに必死だったろうな
「そういえば、この前言ってた春菜のこと、教師とのこと?」
俺は思い出して、言った
ロングヘアーは俺を見て、目を大きくした
「春菜から聞いたの?」
「ああ、噂があるってことだけ」
「そうなんだ。どう思ってる?」