カベの向こうの女の子


どう思ってる…って、



俺は少し考えてから口を開いた



「別に…。春菜は噂だけって言ってたし、気にしてない」



この言葉はもちろん、嘘だった



そんなにタフじゃないし、男らしくもなれない



俺より春菜との時間を共有して、さらにそんな噂があるなんて、不安、っていうのが本音だった



あの教師の顔を思い出すと、ムシャクシャして仕方なくなる




だけど、そんなことをロングヘアーに言えるわけない


それに自分に言い聞かせたいみたいだ




「気にしてない…、嘘ついてる」



俺はそう言われてギクッとする



ロングヘアーの目を見ないようにして、俺は呟いた



「何が」



しらを切ってみたけど、ロングヘアーはきっと気づいてる



前からロングヘアーと目を合わすのが苦手だった


それは、ロングヘアー自体が苦手だったし、嫌いだし、そのせいだと思ってた



だけど、今気づいた



目を合わせると、ロングヘアーに俺の感情が、全て見透かされそうで嫌だからだ



まるで、覗き込まれてるみたいに感じる



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