カベの向こうの女の子

「あたしは、春菜と違うから」



ロングヘアーは、きっぱりそう言った



「当たり前だろ」



それは俺だって、いつも思ってる



だから、嫌なんだよ



俺は舌打ちしたいのを、我慢する



「先生、春菜のこと、好きだよ」



さっきとの口調とは、ほど遠い…ため息を吐くようにロングヘアーは言った



俺は何も言えなくなった


驚いた声を出したいのに、喉に何かつっかえる



冗談にしては、笑えない



天井にぶら下がる電気器具をただ見つめた



「これ、嘘じゃないよ。本当かもわかんないけど…。あたしの勘」



「勘…?」



やっと出た声は、情けないものだった



本当かわからない…、その言葉に少し安心して、喉につかえてたものがとれた



「そ、勘…。あなたは信じないかもしれないけどね」


「…」



俺は黙りこくった



信じない…って、すぐ言えないのがまた情けない気持ちにさせる



本当につくづく嫌気がさす


ロングヘアーはいつも衝撃的な悪い情報を俺にひけらかす



また俺をおとしめようとしてる


そう思った



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