カベの向こうの女の子

「あの時の…!?」



「そうそう、あの時の」



彼女は俺が誰だか思い出して、すっきりしたような顔だった



だけど、すぐに表情をコロリと変えて眉間にシワを寄せた




「だけど、なんであたし、あなたの部屋にいるの?」



俺はそう聞かれてドキリとした



彼女はどうやら、無理やり眠らされたことが記憶からぶっ飛んでいるらしい






それならば、彼女からしたら、当たり前な疑問だ




だけど俺の脳ミソはこのごに及んで、働こうとしない



本当に使えないヤツだ







彼女は俺からの答えを、相変わらずのぱっちりした目で待っている



彼女に熱心に見つめられて


体が火照ってきた



だけど今は、見つめられて嬉しがっている場合じゃない



「う、うーん…」




俺は唸って、頭をかいた




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