カベの向こうの女の子
本当のこと言ったら、確実に変態鬼畜野郎だし、確実に嫌われる
俺はとても言える気がしなかった
「あ、もしかして…」
彼女が俺を覗きこむようにして言った
俺は勘づいたのかと思って、サーッと血の気がひいていった
「何か、助けてくれた?」
予想外の言葉に俺は戸惑った
彼女は目線を上に反らして呟く
「最近ちょっと体調悪かったからなぁー」
なんて
俺は彼女のかなり肯定的な勘違いに、プチパニックを起こしていた
どう転がっても責められると思い込んでいたし、
嫌われて当たり前なことをしたから
何も答えない俺に彼女は聞いた
「そうでしょ?」
そう聞かれて見つめられたら俺は頷くことしかできなかった
不自然に何回も頷いて俺は嘘をついた
「おお、そうそう。体調悪そうにしてて、その…、あ、倒れたからさ」
「え、あたし倒れちゃったの?そっかー。助けてくれてありがとう!」
彼女は太陽みたいな笑顔で俺に言った
心臓の鼓動が多くなるとともに、胸に何かグサリと刺さった気がした
彼女の笑顔へのときめきと罪悪感のせいだ