カベの向こうの女の子
夏の魅力を精一杯語る春菜は、なんだか可笑しかった
「それにね、夏の夜ってなんか良くない?蝉がジージー鳴いてて、Tシャツで出かけるの!」
春菜は両手を合わせて、目を輝かせた
俺は春菜がそう力説するから、夏も良いかもなと思った
それ以上に、夏が好きな春菜が良いなと感じた
きっと爽やかな夏らしい水色のワンピースが、似合うだろうな
「そうだな。暑いけど、まぁ日長いしな」
「ねっ」
「あ、つか、春菜って春生まれ?」
春菜が首を縦にふる
「いつ?近いの?」
俺が聞くと春菜はニヤリと笑った
「誕生日、今日なの」
俺は遠慮する春菜に、無理やり何かプレゼントすることに決めた
っていっても、急だからとりあえず歩いてた近くにケーキ屋があったからそこでケーキを買ってやることにした
ケーキくらいなら春菜も遠慮しないで、受け取ってくれるだろうと思ったし
ケーキ屋の中には数人客がいた