カベの向こうの女の子
でもなんかいいな
兄ちゃんと妹って…
てゆうか、春菜が妹って…めちゃくちゃ羨ましい
俺はあらぬ妄想をしかけて、慌ててやめた
にしても、道理で千秋を憎めないわけだ
そのうち春菜が紅茶を入れたカップを運んできた
それを中身がこぼれないように、春菜はそれぞれの目の前に置いてくれた
「でも春菜が、なんで波さんと知り合ったんだよ?」
千秋が眉間に皺を寄せて、紅茶を飲み干してから言った
「あのね、去年の11月くらいに、あたしが体調悪かったとき助けてくれたの」
「そうなんスか?」
聞かれて俺は、若干動悸が乱れた
「ああ、まぁ」
「春菜がすいません。ありがとうございますっ」
千秋は大袈裟にお礼を言う
それから思い出すように千秋は目線を斜め上に向けた
「体調悪かったときって、…ああ…、もしかして門限破った日?」
春菜は頬を膨らます
「破ったとか言わないで。仕方なかったの」