カベの向こうの女の子
「え!?」
俺はついオーバーリアクションしてしまったが、何故か千秋も同時に俺と同じ反応をした
亮太はそんな俺達には、一切動じずさらに「どうなんだよ」と聞いた
「俺は…」
俺はそこまで呟いて言葉が出せなかった
ギリギリまで迷っていた
亮太は頬杖をついて、小さく笑った
「悪いけど、態度でわかったよ」
「まじですか?波さん」
千秋の息をのんだような、驚いた声が耳に響く
バレた…
頭の中で独り言を呟いた
もう弁解なんて意味ないな
うつむいていた顔を上げて俺は開き直った
「まじだよ」
千秋のまん丸く見開かれた目が、微かに動いた
そんな千秋を横目に亮太は、相変わらず抑揚のない声を出す
「千秋意外に鈍感なのな」
「亮太はなんでわかったんだよ」
「…雰囲気?なんとなくそうゆうのわかるだろ。波の態度とかな」
見抜かれていたことに、俺は自分の間抜けさを思い知った
だけど、見抜かれたのに、少し嬉しい気もした