カベの向こうの女の子
俺はその言葉を笑い飛ばした
「美人でも、性格に難ありすぎだし。あいつのこと上手く扱える男なんて、いないよ」
「確かに難はあるよな」
「それにしても、波さんは美人に好かれますよね。羨ましいっす」
千秋はそう言って、口を尖らせた
「え?俺が?今回だけだろ。女から好意もたれるのも、少ないし」
千秋はさらに口を尖らせて拗ねたように反論した
「林道美笑もじゃないですか」
俺は耳を疑った
亮太はそれを聞いて頷いていた
「そうだな、知らないと思ってたのか?」
「なんで知ってんだよ。俺はこの前須釜に言われて、初めて知ったんだよ」
「やっぱり、自分じゃ気づいてなかったんですね…。正直波さん、鈍いっす」
俺はストレートにそう言われて、戸惑った
頭の中で、中学時代の記憶を辿ってみる
鈍いって言われるほど、林道からあからさまな態度をされた覚えはない
「じゃあなんでお前らは知ってんだよ」
「俺は林道から相談されてたから」
「おれは亮太と林道が話してるの見たり、林道の態度とかでわかりました」
2人の言葉は俺にとったら衝撃的だった