カベの向こうの女の子
春菜は携帯を片手に握ったまま、千秋の隣に座る
俺は無意識に春菜の携帯を見つめていた
「電話終わったのか?」
「うん、先生から誕生日おめでとうって」
春菜はそう言って笑った
胸の中にシャボン玉が割れるような嫉妬を、俺は覚えた
「わざわざ電話でねぇ。変だよな」
千秋が怪訝そうに春菜を見る
「別に変じゃないよ」
そう言ったあと、ふいに春菜は俺を見た
目があったはずなのに、春菜はすぐに俺から目を反らして千秋と話す
俺は不思議に思った
それから4人で雑談をして、それから春菜に違和感を感じることはなかった
だけど帰るまで心に引っ掛かっていた
あのすぐに反らした、いつもの春菜らしくない眼差しを