カベの向こうの女の子
ロングヘアーは俺を上目に見た
「春菜みたいになろうかな」
「なんだよ、急に」
「だって、性格悪いからあたしを好きにならないんでしょ?」
「だからって、なおせるのかよ」
「頑張る」
ロングヘアーはそう言って、睨むような強い眼差しを向けた
「でも、素の性格をこんだけ見せられたからな。性格、変わったら変わったで怖い」
「何、それ。結局はどういうこと?」
睨むような視線は相変わらずで、俺はまたテレビに目を向けた
「結局は、お前は変わらなくていいってこと」
お世辞じゃなかった
褒めているわけじゃないけど…
吉永愛は俺の人生の中でも、屈指の、強烈な人物として認識している
それは外見もそうだし、もちろん中身でもある
でも、それはそれでいいと思った
それが吉永愛だから、これ以上変化して、困惑したくない
後ろで小さく吐息が聞こえた
そして、今度は背中いっぱいに体温が広がり、少し重みを感じた