カベの向こうの女の子
春菜を好きじゃなかったら、ロングヘアーとはどうなったろうな
今みたいに言い寄られたら、いくら性格に難はあるとはいえ、案外コロッと受け入れてたと思う
彼女が言うように器量は抜群だし、知り合いにいくらでも自慢できる
物思いに耽っていると、ロングヘアーの指先が俺の腰をくすぐった
途端に寒気が襲って、俺は思わず体をくねらせた
「うわっ!」
「あ!弱いんだぁ」
振りかえると楽しそうに笑う、ロングヘアーがいた
「やめろよ、馬鹿!」
言ったそばから、ロングヘアーはまた背中付近をくすぐりだした
「ちょ、ば、やめろって…」
俺はあわてて言って、ロングヘアーの腕を掴んだ
するとロングヘアーはくすぐるのはやめたものの、ニヤリと意味あり気に笑った
「ほら、せめて近くにね…」
ロングヘアーがそうやって、邪魔をするから、結局テレビには全然集中できなかったんだ