カベの向こうの女の子
ウソ
上手くいきすぎてたのかもしれない
恋愛対象外だとしても、春菜の側にいれたし、春菜が俺を慕ってくれているのはわかっていた
このままいい方向ばかりに進むと、油断してた―…
今日、生まれて初めて春菜に呼び出された
学校帰りの少しの時間だったけど、春菜が自分から会いたいと言ってくれた
昼間はシャツ1枚でもいいくらいに暖かくて、春菜の好きな夏が近づいていることに気がついた
あんなに咲き誇っていた桜が嘘みたいにすぐに散り、新たに緑の葉が木をおおっていた
それに少し切なさを覚えたけど、春菜に会えると思うとすぐに気分が高揚する
強風に吹かれて舞う砂ぼこりが体にまとわりつくみたいで、少し鬱陶しかったけど、俺は急いで春菜のもとへ歩いていった