カベの向こうの女の子
飯といっても俺の家にはカップラーメンとかしかなかった
あとは塩とか砂糖とか調味料くらいだ
そんなもの春菜に食わせられるわけがない
近くにちょうどいいファミレスなんかもなくて、遠くでもいいから行こうとしたが、春菜が遠慮していいと言った
だから近くのスーパーに買い出しに行くことになった
春菜も一緒についてくるらしい
春菜と買い物なんて、俺は天にものぼる思いだ
上がりまくるテンションをなんとか抑えて、俺は平静を装った
外に出るとひやりと寒くて、日はどっぷり暮れていた
俺の近所は決して都会じゃないから、電灯がちらほらとしかなかった
人通りも少ない
春菜は寒そうに肩をすくませて歩いていた
短めのスカートにカーディガンとマフラーだけじゃ寒いに決まってる
俺は部屋から出る前に上着を貸せば良かったと思った
だけどそれも遅いから着ている上着を貸すことにした
貸すだけなのに、言い出すのにすら緊張する
俺は上着を脱いで、彼女に差し出した
「着ろよ」
春菜は初めは断ったが、俺が強引に羽織らせた