カベの向こうの女の子
別にギャグとかで笑わされたわけでもないのに、春菜の話は楽しかった
そこらへんのテレビで稼ぐ専門家の話よりずっと興味があった
春菜も俺のどうでもいい話を、よく聞いてくれた
そんな感じで時間はあっという間に過ぎていった
鍋を食べ終えると春菜の門限から、2時間ほどたっていた
春菜は片付けまでしてくようとしたが、さすがに断った
そして、家までバイクで送ることにした
春菜の案内で家まで着く
春菜は軽快にバイクから降りた
それから少しだけ話して、春菜は家に入っていった
家のドアが閉まると、俺はなんとなく寂しくなった
本当にあっという間だったと思った
夢でも見たんじゃないかって思った
でも頬つねらなくても心臓の強い鼓動でわかっている
夢じゃない
俺は本当にあの子と知り合ったんだ
なんか駆け出したいような叫びたいような衝動に襲われた
あんな素晴らしい世界があるんだ
俺は自分からあっちに踏み出せたんだ
それが満足だった
だけどあんな一時だけじゃもったいない
もうこれからずっと、春菜と夢のような時を過ごしていきたい
つーか、絶対、そうなってやる
俺は1人、決意していた
向こうの世界
完