カベの向こうの女の子
そして忘却の彼方へ
決めた
誘拐したあの日から数日たった
ちゃっかり携帯の番号を聞いといたから、メールとかはしていた
彼女のメールはデコ絵文字が多くて、性格の明るさがメールからも滲みでていた
俺はまた彼女に会いたくてうずうずしていた
チャンスがあったら絶対誘うって思ってたから
春菜が助けてくれたお礼がしたい
って言ったとき、ここしかないって思った
電話ごしに俺は素直に言った
「だったら、俺、また春菜に会いたい」
春菜の困ったような声が聞こえた
『そんなことでいいの?』
俺はもちろんいいと答えた
そしてまた春菜に会えることになった
俺は嬉しくて嬉しくて、その日が待ち遠しくなった
自然に顔が緩んで、ニヤニヤしてしまう
会えると思っただけで、なんもかんもやる気が沸く感じ
これが恋かぁ
って恥ずかしながら、実感してしまった
そう思うとちゃんとした恋は初めてだと思う
女は好きだけど、1人に夢中になれなくていつもノリで付き合ってきた
だから街にながれている、ありきたりなラブソングの
永遠とか
一生とか
世界を敵にまわしても守るとか
運命とか
全然ピンとこなかったんだ