カベの向こうの女の子
だけど今なら
ちょっとだけわかる気がする
だからってそんな音楽に浸るだけなんて嫌だ
俺は自分が行動したい
そしてその日がきた
木曜日は部活がないからと、木曜日の放課後になった
仕事を早く切り上げて校門の前で待った
それからメールで学校の前で待っていることを伝えた
ふと腕時計を見ると、ちょうど5時半くらいだ
春菜は相変わらず門限が7時だから、時間がない
学校の前で待つ俺は目立ちすぎているようだった
帰る高校生達が、俺を遠回りに避けていく
部活で外周している奴らも、俺を見てからすぐに目を背けた
たまに女子高生が振り返って、俺を怪訝そうに見て何か言っていた
うんうん、これが普通の反応なわけね
変わってるのは、やっぱり春菜のほうだ
俺はぼーっとそんなことを考えていると、隣からひょこと何か覗いた
「待たせてごめんね」
俺は春菜を見てはっとした
「ああ、全然」
春菜は今日はあたたかそうなコートを着ていた
俺の返事を聞いて彼女はニコッと笑った