カベの向こうの女の子
俺は笑顔を見た途端、心臓の周りを何かに圧迫されてるみたいに苦しくなった



「元気でしたか?」




「まぁ元気。お前は?」




「うん、元気!…今日、どうする?」



「また俺の家来る?外寒いし」




春菜はコクりと頷いた















バイクでアパートまで行って、外の階段で二階まで上がる




俺は俺の部屋のドアに鍵を挿した



挿して回してみたが、なんだかいつもと感覚がちがう


あのガチャリという音がしない拍子抜けしたような感じ



俺はまさかと思い、ドアに手をかけて開けてみた



出る前に、鍵をかけたはずなのにすんなりドアは開いた




俺はドアから部屋を覗いて、すぐ閉めた




春菜はそんな俺を不思議に思ったらしく、聞いてきた



「どうしたの?」




「いや…、なんつーか、今日は俺ん家無理かも」




春菜は不思議そうな目で俺を見つめた




俺がドアに背を向けたとき、頭に思いっきり何かがあたった



「いってぇ」



玄関のドアが急に開いたんだ



俺は慌てて後ろを見た



まさか…まさかとは思ってたけど



合鍵を持っている奴なんて限られてる




< 30 / 219 >

この作品をシェア

pagetop