カベの向こうの女の子
俺は後ろを振り返った
「何してんのよ、波。早く入れば…、あら」
「優(ユウ)…」
思った通りだった
春菜は俺に聞くように呟いた
「優…?」
俺らはとりあえず部屋に入ることとなった
さっきから優は黙っているから俺はなんだか嫌な予感がした
ぴっしりしたスーツ姿にダークブラウンのパーマの髪で、俺達に背をむけて立っている
チラリと春菜を見ると、何か聞きたげな顔で俺を見ていた
俺はたまらずに口を開いた
「優、なんで…」
聞こうとしたら優はいきなり振り返って、俺の胸ぐらを掴んだ
そして俺を鋭い目付きで睨んだ
「てめぇ!女子高生連れ込んで何するつもりだっ!?オラァ!!」
ドスのきいたそれに、俺はゾクッとした
タンカとか喧嘩とか慣れてるけど、優にはいつもひるんでしまう
優はさらに手に力を入れるから、苦しくなった
「ちょ…、苦し…、死ぬ…」
このままだと普通に首を絞められて殺されてしまう勢いだ