カベの向こうの女の子
春菜が帰ることになって、不覚にもほっとした
優はやっぱり鬼か悪魔に見える
春菜はさっきの話を冗談だと受け取ってくれたようだった
そしてまったく意味がわからないが、優が春菜を家に送ることになった
俺のバイクは危ないとかなんとか
俺はもちろん嫌だったが、優は言い出すと聞かないから仕方なく俺が折れた
優が帰ってくるとすぐに聞いた
「春菜に余計な事、言ってねーだろうな」
優はニヤリと笑う
「さあねぇ」
「ふざけんなよ、てめぇ!」
俺がキレると優は相変わらず見下しように笑った
「言ってないわよ。そこまでたち悪くない」
いや、たちは相当悪いだろ
俺は自分の中で呟いた
けど、声にはしなかった
「あんた、最近どうなの?また馬鹿してんじゃないでしょうね」
「してねーよ」
俺は春菜が持ってきてくれた残りのクッキーが置いてある机の前に座った
すると、優は俺の向かいに座ってきた
「それならいいけど。仕事もちゃんとやってるみたいだしね」