カベの向こうの女の子
俺は優から視線をずらした
優は普段はすぐ悪態づいて、相当ムカつくやつだけど
本当は感謝してる
俺が高校中退して、何もなかったときに仕事につかせてくれた
適当なバイトでもやればいいと思ってたけど
優は頼んでもいないのに、知り合いに必死に頼んでちゃんとした職場を探してくれた
俺が優を鬼とか悪魔じゃなくて、人間として見れた理由だ
「ちょっとは安心したわ」
ようやく優は何の企みもない自然な笑みを見せた
「少しは信用しろよな」
俺は本当は偉そうにこんなこと言えない立場なのに、言った
優は小さく笑ってた
「だけど…、」
「は…?」
優は俺を見据えた
「あの子は諦めたほうがいいんじゃない?」
「は!?なんでだよ、別に見た目とか関係ねーだろ」
俺が机を叩いて言うと、優はぷっと笑った
俺は笑われた理由がわからず、眉間にシワが寄った
優は俺をチラリと見た
「やっぱり好きなのね」
そう言われて一瞬固まったが、すぐに腹のそこから外側に体が熱くなった