カベの向こうの女の子

やられた


と思った



俺は自分の間抜けさに言葉がでなかった



そのかわり、虚しくも顔がものすごく熱い




「うっせーな」



笑われるとわかってても、なにか言ってはぐらかしたくなった



優はやっぱり笑った



「本当はあんな普通な子が好きなのね、意外」



「ば…っ、なんで、わかって」




「あんたの姉貴よ!わかるに決まってんじゃない。しかも相当本気なんでしょ」




俺はますます体が熱くなった



今すぐ消え入りたい



なんでわかった




俺の顔の歪みで聞く前に、優は勝手に答えた




「わかりやすいのよ、あんた。髪の毛いつもより落ち着いてるし、部屋はかたずけてあるし。誉められてニヤニヤしてる上に、何するにも春菜ちゃんに気つかってる感じ」




ま…まじか


俺は恥ずかしすぎて呆然とした



確かに寝癖は一生懸命直したし、部屋も片付けた




すべてお見通しってわけか


やっぱりタチが悪い



「別に…っ、ニヤニヤしてねーし!」



いや、してたのか



そんなこと客観的に見られるなんて、しかも優に、穴があったら入りたい



優は大きい声で笑った




「してたわよ!あんなの初めて見た!笑える」



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