カベの向こうの女の子
「ごめんね!びっくりしたでしょ?」
「けっこう。全然いいけど…。女子高生に囲まれたのなんて初めてだし」
春菜は深く頭を下げてまた謝った
俺は全然いいからと言った
俺に危害はなかったし、女子高生にどう思われようとも春菜に優しいと言われればそれでいい
それに嫌な予感が的中しなくてよかった
俺はてっきり春菜が俺を嫌がって、あいつらを差し向けたのかと勘違いした
冷静に考えれば、春菜はそんなことしないだろう
「あのね、あたしが男の人と待ち合わせなんかしてるから怪しんだんだと思う。何回も聞かれたし。もちろん、悪気はないの!心配してくれたの」
俺は歩きながら必死にそう言う春菜を見た
寒いせいか頬が桃色に染まってる
「待ち合わせ場所変えた方が良かったか?」
春菜は首を横にふった
「いいの、あれでわかってくれたと思うから。でも、あんなに疑うことないのに…。悪い人じゃないって言ったのに」
春菜はそう言ってうつ向いた
疑われるのは仕方のないことかも
こんな純粋そうな女子高生…
「俺の外見のせいだよな」