カベの向こうの女の子


俺は自分の髪をさわってみた



それから春菜のさらりと靡く髪を見つめた




あまり気にしてなかったけど、春菜の髪は普通より少し茶色い



これが地毛なんだろうと思うような、自然なダークブラウン



寝癖なんかつかなそうな、しっとりした艶のある…




綺麗なのはそっちのほうだ



するとふと春菜と目があった



「どうしたの?」



「いや」



俺は焦って目を反らした



不意に油断しているときに、春菜と目があうとどうしたらいいかわからなくなる


そこで微笑んだりできたらいいのに



恥ずかしくてとてもできやしない




「ねぇ、最近バイクじゃないんだね」




春菜から話題をふってくれたから、助かった



目があって、なんかドキドキして言葉がでなかったから




「ああ、うん」



ふってくれたのに、俺は素っ気なくそう言ってしまった



「なんで?」



来ました



「春菜と話しながら歩いたほうが楽しいかなと思って」




「うん、歩くのもいいよね」



春菜は頷いて笑った



本当は優にバイク危ないと言われて、それもそうだと思ったから



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