カベの向こうの女の子
ロングヘアー
でもまだその片隅の俺は、馬鹿みたいに上手くいってると勘違いしていた
「待って」
そう俺を引き止めたのは、あのロングヘアーだった
たまたま駅の近くを歩いてたらいた
気づいたけど、あの敵意むき出しの目を、もう見たくなかったから
俺は目を伏せて、気づかれないようにすれ違った
すれ違ったけど、後ろから呼び止められてしまった
春菜は一緒じゃないらしく、彼女1人だった
俺は聞こえないふりしようか迷ったけど、呼び止められて足を止めてしまった
仕方なく俺は振り返った
ロングヘアーは奇人を見るみたいに、俺を見た
あの不快そうな目線だ
教師とか大人が不良に向ける目とは少し違うけど、似てる
俺は黙って彼女を見た
「あたし、春菜の友達…。春菜のこと本当に助けたの?」
なんであの高校の女子高生は、ため口なんだ
肝が座ってんのな
春菜もため口だけど、親しみのあるため口だからいい
「そうだけど」
ひき止めてまで、聞くことか
春菜がそういってんだろうが
俺に聞いたって肯定するに決まってるだろ