カベの向こうの女の子
背の高い黒髪と、隣には背の低い明るい茶髪
「おお!偶然っスね!」
ひょこり俺の横に並んで茶髪が言った
「びっくりした…」
俺がそう呟いて、ロングヘアーのほうを向き直ると、ロングヘアーはもう目の前にはいなかった
ただ、駅の方へ歩く後ろ姿が見えた
「なんスか?あの女子高生…。めちゃくちゃ可愛いっスね!彼女っスか?」
可愛い…か
俺は気の強そうな…現に気が強い、あの睨む彼女を思い出した
はっきりした顔立ちに綺麗な黒髪だった
可愛いというより、見事に顔は整ってたな
万人うけする、まさに美人だった
「いや、違う」
「波にあんな美少女の知り合いがいたなんてな」
背の高いそいつは相変わらずクールな目で俺を見た
「紹介してくださいよ〜」
「知り合いってほどでもないから」
つーか、敵視されてるし
「そうなんスか」
茶髪は少し残念そうに俺を見た
すねたように口を尖らすから、いつものガキっぽさがさらに際立った
「お前らこんなとこで何してんの?」