カベの向こうの女の子


一方、千秋は真逆だ



子供っぽくて落ち着きがない



実力もないのにビックマウス



この茶髪は地毛だから、昔から誤解されて目つけられやすいんだ




中学から一緒だけど、千秋をかばうために幾度となく喧嘩したもんだ




でも不思議なもんで、千秋は憎めない



それは亮太も同じだと思う


ちなみに敬語だけど、俺らと同級生だ




タメなのに敬語はこっちが恥ずかしいからやめてくれって言ったけど



感謝して崇めたいからとかなんとか






「まだ金髪なんスね」




「ああ、これ」




「波は金髪のほうが似合うよな」




そう言われて、 春菜のことを思い出した



『綺麗なのに』




そう言う春菜の納得のいかないような顔を思い出す



あれから毎朝、鏡で髪の毛を見たけどやっぱり俺には綺麗には見えなかった




寝癖はやっぱりうっとうしかったし…




「何笑ってんの?」




俺はそう言われてハッとした



「笑ってねーけど」



「いや、なんか微笑んでましたよ。なぁ亮太」



亮太は千秋にそう聞かれて頷いてた



俺の顔の筋肉はどうした



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