カベの向こうの女の子
「あ、よかったぁ、いたいた!これ、鍵、落としましたよ」
俺は、高い、鈴みたいな声でそう言った目の前を見て
雷に撃たれた
と思った
しかもただの雷じゃない
多分 今世紀最大の…
いや 前世紀一番の雷に当たった
あ、こいつ死んだじゃん
と思ったヤツ
俺は何故か生きていた
そんなでかい雷にあたっておきながら
心拍数がやけにあがったのと、全身がやけに熱いのと、やけにたった鳥肌
くらいですんだ
俺はショックすぎて
自分の目の前のものが信じられなかった
乾燥した風が落ち葉を舞い上がらせて、ひらひらと視界に入ってきた
俺の前にいるのは
俺が今まで飽きもせずに見つめてきたあの女子高生だった
俺はすっかりパニックを起こしていて、彼女のどこを見ればいいのかわからないし
何を言えばいいのかわからなかった
「あの、鍵、違いますか?」
彼女は俺を心配そうに見つめて、小さく笑って聞いた