カベの向こうの女の子

全然、性格は違うだろうに



春菜はプレゼントにチョコ1つでも大袈裟に喜びそうだけど



あの愛ちゃんは、ダイヤモンドあげても、表情1つ変えそうもないような気がする




2人はどんな話して、どうやって遊ぶんだろう




俺は夕日に照らされた春菜の顔を見ながら思った




春菜はぱっと俺に顔を向ける



「でも、なんで?なんで話したの?」




やっぱり"なんで"がくると思った



「駅でたまたま会って、話しかけられただけだよ」




「そうなんだ〜。愛ちゃんからなんて珍しいな。なんの話したの?」




「あー…、春菜の友達ですとかって言われただけ」




「ふーん、そうなんだ」




それから春菜はうつ向いた


相変わらず肩くらいの長さの短めな後ろ髪に、前髪はまっすぐ切り揃えられている




「仲、いいのな」




そう言うと春菜は笑った


「うん!荒木くんとも仲良くなれると思うよ」



そんなこと春菜が言うから俺は顔がひきつった



何を根拠にそういうんだか


俺をあんな不快そうにみる"愛ちゃん"と仲良くなれるはずがない




春菜はそれを知らないから、そう言うんだろうが



< 62 / 219 >

この作品をシェア

pagetop