カベの向こうの女の子
全然、性格は違うだろうに
春菜はプレゼントにチョコ1つでも大袈裟に喜びそうだけど
あの愛ちゃんは、ダイヤモンドあげても、表情1つ変えそうもないような気がする
2人はどんな話して、どうやって遊ぶんだろう
俺は夕日に照らされた春菜の顔を見ながら思った
春菜はぱっと俺に顔を向ける
「でも、なんで?なんで話したの?」
やっぱり"なんで"がくると思った
「駅でたまたま会って、話しかけられただけだよ」
「そうなんだ〜。愛ちゃんからなんて珍しいな。なんの話したの?」
「あー…、春菜の友達ですとかって言われただけ」
「ふーん、そうなんだ」
それから春菜はうつ向いた
相変わらず肩くらいの長さの短めな後ろ髪に、前髪はまっすぐ切り揃えられている
「仲、いいのな」
そう言うと春菜は笑った
「うん!荒木くんとも仲良くなれると思うよ」
そんなこと春菜が言うから俺は顔がひきつった
何を根拠にそういうんだか
俺をあんな不快そうにみる"愛ちゃん"と仲良くなれるはずがない
春菜はそれを知らないから、そう言うんだろうが