カベの向こうの女の子
顔が熱くなった



好きな人にコンプレックスの名前を呼ばれて、こんなに嬉しいと思うなんて




想像もしなかった




「なんで…」



俺は地面を見つめて呟いた


地面はただの乾燥したコンクリートしかない




春菜が俺の背中をゆっくりさすってくれるのが、優しすぎてもったいないと思った




「本当に大丈夫なの?無理しないでいいよ」




焦っている春菜の言葉にようやく俺は、姿勢を正した



「わり、大丈夫だから」




春菜は俺を見上げて、まだ心配そうにしてくれた






俺は本当は今日言いたいことがあった




言うと決めてたことがあった




だけど、これが原因ですっかり忘れてしまった














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