カベの向こうの女の子

Wデートマイナス男





ちゃんとした2人きりだけの約束




そんな日の空には、灰色の雲がどんより浮かんでいた


待ち合わせ場所はまたあの学校だ




家まで車で迎えにいくって言ったのに断られた



仕方ないから学校の側に車を置いて待っていた



俺は正直、緊張していた



言いようもない胸の上が締め付けられる感じがする



間違いなく今日によって2人の仲が深まるか、浅くなるか、勝負どころな気がした



不自然に気持ちがおさまらないし、ソワソワする




さっきから携帯をいじってはみるが、どこのサイトにとんでも興味がそそられなかった



春菜が来たらなんて言おう



なんて言うのがいいんだろう




おはよう―?



いや、普通すぎる



俺は模索しだした



それは朝の挨拶から車の中での会話…別れるときの会話まで広がっていく




ああっ、不安になってきた


もっと春菜が喜びそうな言葉…言葉…




何かないのかよ




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