カベの向こうの女の子
自分に思わず突っ込みをいれてみた
まるっきり自分の世界に入りかけたとき、足音が聞こえた
小走りじゃない普通の足音だった
俺はそっちのほうに目を向けた
学校の角を曲がって待ちに待った…
「はっ?」
俺は思わず声が出た
俺に気づいたらしく春菜は手をふってくる
うん、それはいい
問題は春菜の隣だ
見間違いなんかじゃない
俺は視力だけはいいしはっきり見える
ロングヘアーだ
俺が十分に驚く暇もないまま2人が目の前にやって来た
春菜はニットコートとチェックのスカートを着ていて、俺に笑った
「愛ちゃんも行きたいんだって。いいかな?」
隣で愛ちゃんは口の端を上げただけの作り笑いをしている
ふ、ふざけんな
俺がどれだけこの日を待ち望んでたか
俺は顔がひきつったのがわかった
「わかった」
この状況で断ることなんてできないだろ
「良かったね」
春菜はロングヘアーに笑いかけた
するとロングヘアーは頷いて、俺にお辞儀する
わかりたくないけど、ロングヘアーの気持ちが推測できた