カベの向こうの女の子
春菜のばあちゃん家の住所はナビに入れてたし
指示すらもらえないから、車にいるときは俺は本当に空気だ
完全に忘れられてる
俺はため息を吐いて、ただ運転した
でも会話には耳をそばだたせていた
言うわけないと思ってるけと、ロングヘアーはあまりに強そうだから不安になった
だって本当のことを知ってるから
俺が本当はあれは助けたわけじゃないってこと
この前いくら否定したからっていって、完全に信じたとは思えない
それで今日来たんだろうし
でもなんでそこまで干渉したがる
いくら親友だからってそこまでの権利はないと思う
それにそこまでやるヤツなんて、希少だと思う
俺は頭の中でイライラを呟きながら、運転もそこそこにした
時々バックミラーを覗くと、春菜の楽しそうな笑顔が俺の目に入ってくる
やっぱり春菜の感情を俺が支配するなんて無理だ
ロングヘアーのほうが春菜を笑わせてやってる
俺は心臓に鉄骨が貫通したような気分になった