カベの向こうの女の子

白髪まじり…、黒髪のほうが少ないから黒髪まじりと言ったほうが正解かも




その髪を後ろに束ねてるばあちゃんは言った



「春菜ちゃんのお友達もわざわざ…ありがとう」



すごく嬉しそうに言うから俺とロングヘアーは軽くお辞儀した



それから俺を見てばあちゃんは「あれ?」と言った




「お兄ちゃんも来たの?大きくなったからわかんなかったよ」




それを聞いてすぐ春菜が答えた



「おばあちゃん、お兄ちゃんじゃないよ。この人も友達だよ」




俺を身内と勘違いしたらしい



まったく老人ってのは、孫をわかってんだかわかってないんだかわからない



「春菜って兄弟いたのな」



「うん、お兄ちゃんだけだけどね」




そんなふうに話しているとふとロングヘアーと目があった



ロングヘアーは春菜より少し背が高めでヒールはいてるから余計視線が近い



長いまつ毛と黒目の大きな目は、そんなことも知らなかったの?と言いたげだった



冷ややかで警戒してる




「ほら、2人も上がって」


いつの間にか春菜は靴を脱いで上がっていた



玄関の段のせいで、春菜を少し見上げる形になった



春菜の目はロングヘアーとは正反対だ



温かくて優しい




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