カベの向こうの女の子

ほっと安堵のため息がもれそうになる












とりあえずリビングに入ることになった



暖房のせいで部屋は生温い


リビングは広くて食事するところと壁は隔てられていなかった



テレビと古そうな棚と古いソファー


あと真ん中にはこたつがある



年寄りの家ってのは、どこも同じなのな



別段興味のひくようなものはなく、現代らしいものはない



こたつの上にはみかんとお菓子が木の笊に入れてある



俺は春菜がしたようにこたつに入った



ガラスの奥の外は相変わらずどんよりした雲が重そうに浮かんでいる



常に日陰な地上が俺の虚しさをさらに煽った



「今、お茶入れるからね」


春菜のばあちゃんがそう言って台所へ向かっていく


「ああ、あたし入れるよ」



春菜がそう言って台所に行っちまったから、ロングヘアーと2人きりになった



ロングヘアーはどこかに視線を落として黙っている



俺も同じようにしていた


こんなはずじゃなかったんだ



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