カベの向こうの女の子
玄関を出ると、部屋とは反対のひんやりした空気が全身に滲んだ
上を仰いだら、今にも雨が降りだしそうな空だった
ため息をはくと空気が白くなる
この1日なんだったんだろうな
すっげー疲れた
ばあちゃんは俺たちに「また来てね」なんて言って笑ってた
悪いけど、あんまりいい思い出になりそうもない
春菜といれたのは確かだけど、すっかり邪魔された
車に乗って運転してると春菜の家まできて、やっぱり雨がポツポツと降ってきた
そして薄暗くなってきている
春菜は俺にお礼とロングヘアーに挨拶してから降りた
春菜の家のほうが近いらしく、春菜を先に降ろすはめになった
春菜は手を降ってから家に入っていく
ロングヘアーとこれから2人なんて憂鬱でしかない
「家、どこ?」
俺が聞くと後ろから淡々とした声が聞こえる
「いい、ここで降りる。わりと近いから」
愛想もくそもない冷たい無表情がバックミラーに写った
「でも、雨降って…」
俺が言いかけるとロングヘアーは勝手に車から出た