カベの向こうの女の子
転換
それからずっと悪い夢
俺はぼーっと仰向けで天井を仰いだ
布団の生暖かさと頭にこびりついたあれ
あれは毎日俺を苦しめる
『春菜、彼氏いるよ』
俺は額に腕をつけて、目をうっすら開けたままだ
彼氏…
その二文字に胸がズキズキした
春菜の彼氏は想像したいわけじゃないのに、頭に勝手に浮かんでくる
それはというと、春菜より10センチくらい背の高い、あの高校の学ランを着た黒髪のスポーツマン
いとも簡単に春菜の隣がよく似合う
違和感もない
俺は上半身を起こして、頭をかきむしった
悪い夢にうなされてるみたいに毎日思う
俺はなんて甘い
彼氏の有無をなんで確認しなかった ?
俺は春菜の様子で勝手に彼氏はいないもんだと思い込んでいた
想像もしなかった
春菜だってそんなことほのめかすようなことはなかったし…
俺と何度も会っていたこと、彼氏は知ってたのか
彼氏いる素振りも見せる必要もないほど、俺はただの恩人としてか見られてなかったことなのか
俺は一点を見つめて、考え事に耽った