カベの向こうの女の子
俺はふせた目をチラリと上げて、彼女を伺った
「今回は嘘…ついてないよな」
「まさか」
彼女はあっけらかんとした顔をした
「2回も同じようなこと、しないよ。言っても無駄だってわかったし」
俺は彼女を見て、なんとなく嘘ではないなと思った
まったく彼女自身は信用していないけれど
しかし、あのまま春菜に関わらずにいたら、ロングヘアーの思う壺だったわけになる
危なかった…と心で呟く
「じゃあ、あたし用事あるから」
彼女はそう告げて踵を返した
颯爽とした後ろ姿が印象的だった