君、依存



 珪は理科室の鍵を開けて
 中に入る

 …そうだ

 此処、昨日龍が…

 昨日の情景を思い出す

 駄目だ
 忘れなきゃ

 ノートを置くと、
 珪は準備室に入ってしまった

 「…先生?」

 珪は無言で何かを探していた
 机の中をあさっている

 「昨日確か…
 あ、あった」

 珪は顕微鏡を調整しながら
 私に何かを差し出す

 「…チョコ?」

 「さっきのやつの
 味違うやつ…」

 「え!
 コンビニ探しても
 売ってなかったのに!」

 「こないだ見つけて
 大量買いしてたし、
 余ったから……」

 「くれるの!?」

 「やる、やるから落ち着け」

 「やったぁぁー」

 思わず笑いながら
 チョコを握り締める

 「握ったら溶ける」

 「あ!」

 慌てて箱を開ける
 …なんとか無事だった

  


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