羽ばたき
自分でそう思ってるわけじゃないけど、あたしはものすごくかわいいし、美人だそうだ。
人によく言われるし、さっきみたいにスカウトされるのも珍しくない。
しかも名前も「姫花」なんて洒落た名前で、ほんとに憧れって感じらしい。


あー。あたしそんなのどうでもいいし。

でもそんなこと言うとウザイ人になるから言わないけど。


神様、なぜあたしに素敵な容姿をくれたのですか?
なぜ声優志望のあの子ではなくあたしなんかに?


世の中って、あきれるくらいうまくいかないんだって思う。


声優志望のあの子は声最悪だし
あたしのことを好きだったせいであの男子はかっこいいのに彼女いなかったし
あたしは女優すらできる容姿を持ち合わせていながら無関心だし

どうしようもない。


声なんて変わらないし
あたしを好きなのも仕方ないし
無関心なんてもっとどうしたらいいかわかんないし


ふっとため息をついて空を見上げた。

太陽と月が同時に空に浮かんでる。




ちょうどあと一年か。
あたしたちの受験シーズンまで。

一年後のあたしはやりたいことを見つけているのかな。

ていうか、とりあえずで大学受験してそう。
絶対そうだ。間違いない。

心理系の大学にでも行こうかな。

そしてこの無関心の原因をつきとめてやる。
あたしがどうしたら皆みたいに人生をエンジョイできるか。


なんてね。




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