堕ちていく二人
小娘
一時間程して玄関のチャイムが鳴った。
玄関口に設置されたカメラに映っていたのは二十歳前後の娘の姿だった。
ここのマンションは防犯上オ−トロックになっている。なのに亜美はまっすぐ玄関先までやって来た。
玲子は桂司が自分の留守中に、亜美を家の中に招き入れていることにこの時初めて気が付いた。
玲子が玄関のドアを開けると、何処にでもいそうな普通の娘が立っていた。
「初めまして…」
玲子はとりあえず亜美をリビングに通した。
ソファに座った亜美は何も言えずただ俯いていた。
玲子は数秒間亜美を見下ろしてからソファに座り、普段は吸わないタバコに火を付け、一服してから話しを切り出した。
「桂司とはいつからなの?」
「一年くらい前からです」
「何処で知り合ったの?」
「出会い系サイトです」
「それで、今後どうするつもりなの?」
亜美は言葉に詰まった。
返事がなかなか返って来ないことに苛立った玲子は、タバコの火を灰皿で揉み消した。