堕ちていく二人
連休
GWの初日、大阪に住む玲子の妹真紀が、娘の美穂を連れて滋賀県に遊びに来た。
「お姉さんこんにちは」
玲子より3歳年下の真紀は、大阪の大手家電メーカーに勤務する夫と社内恋愛をし、玲子や真紀の母親千代と家族4人で幸せに暮らしていた。
娘の美穂はちょうど裕也と同い年で、子供部屋へ行ってテレビゲ−ムを始めた。
玲子は久しぶりに会った妹真紀にコ−ヒ−を入れながら
「真紀は幸せでいいわね…」
ぽつりと零した。
玲子は真紀と夫博一の仲側よく、博一が娘の美穂を可愛いがっているのを知っていた。
「お姉さんこそ、経済的にも恵まれてるし羨ましいわ。このマンションだって桂司さんの実家がポンと買ってくれたんでしょう。うちなんか家のロ−ンで大変よ」
「確かにお金には不自由してないわ。でもうちだっていろいろあるのよ」
玲子は妹や母親に心配をかけたくなかったので、桂司との関係が最悪の状態であることを話してはいなかった。
「それより、お母さん元気にしてるの」
玲子の母親千代は一時期玲子とこのマンションに同居していたのだが、桂司との折り合いが悪く現在は大阪の真紀と一緒に住んでいた。